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介護情報録
2020 09.25
重度在宅患者の増加でやはり浮上してきた [医療行為]と看護と介護のボーダレス問題~『入浴福祉新聞 第69号』より~
 従事者向け

 

『入浴福祉新聞 第69号』(平成11(1999)年9月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

 

重度在宅患者の増加でやはり浮上してきた [医療行為]と看護と介護のボーダレス問題

看護婦の起業促進と介護資格の見直し必要

 

重度の在宅患者さんが増え、また、来年から始まる介護保険制度が在宅重視とあって、医師法がらみの看護と介護の領域をどうすべきかが問題になってきました。

医師法は、「医師でなければ身体に害を与える行為」を医療行為として、医師以外の者による医療業務を禁じています。医師と看護婦が共働している医療機関では、医師の指示によって看護婦が、医療行為のかなりの部分を代行しているわけですが、医師の監視下にあるわけでもなく、看護婦の頻繁な訪問もない在宅ケアでは、ホームヘルパーが主役となります。

そのため、重度の在宅患者さんに対して、胃瘻や経管栄養、褥瘡の手足、吸引や吸入、点滴や摘便などを、ヘルパーがやむにやまれず行うケースがかなり出てきたというのです。

ベテランのヘルパーになると、随分と上手になっているようですが、基本的には現在でも、それらは医療行為とされるため、困惑と後ろめたさは捨てきれないでしょう。

こうした看護と介護の領域の問題を考えますと、いかに日本の在宅ケアがさまざまな課題を放置してきたかが浮かびあがってくるようです。

まず第一に、訪問看護が叫ばれながらも、ステーションの増設は遅々として進まず、依然と医師や医療機関の下請けのような状態にあること。アメリカやヨーロッパのように、看護婦が自立したカタチで開業できる制度を整え、一定のキャリアのある看護婦には、従来は医療行為とされてきた部分も積極的に任せてゆくべきです。

第二はヘルパーと介護福祉士の資格をスッキリとした内容にして、医療行為の初歩的な業務を行えるように教育や研修制度をレベルアップすべきです。現在の制度では、介護福祉士の養成校を卒業すると、介護福祉士の資格が取得できてしまいます。その反面、実務経験と研修を重ねたベテランで1級のヘルパーでも、試験に合格しなければ、介護福祉士になれません。

こんな奇妙な制度があるため、介護福祉士がとても曖昧な存在になっています。

 

4年前に行われた「看護と介護の役割分担に関する調査」によると、訪問看護ステーション看護婦の多くは、在宅ケアで不可欠な基本的な医療的ケアを、所定の教育訓練を受けていれば介護職が担当してもいいのでは・・・と答えたそうです。

現場の専門家の方が時代をしっかりと見きわめているようで、そうした声を集めながら、国も看護と介護の業務を見なおし、整理してゆく必要があるのではないでしょうか。

 

 

※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

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